2022.07.15 [金] 株式会社モリサワ「知ると楽しい文字の話」(業界研究2022)
本年もモリサワ認定校特別セミナー「知ると楽しい文字の話」を株式会社モリサワの須田さんにお願いしました。 本年も、オンラインでの開催となりました。

株式会社モリサワ
1924年(大正13年)創業の老舗フォントメーカーです。創業当初は手動写植機や電算写植機、DTP時代には、使用シェア1位のフォントメーカーとなりました。現在ではフォントの開発から、Webフォントの配信まで幅広く手掛けています。社名は、創業者、森澤さん由来です。「モリサワ」の歴史に関しては、同社のWebサイトに詳しく紹介されています。
フォントの開発・販売だけでなく、フォントデザインコンペや文字組教室など、文字文化の継承に関する活動も積極的に行っています。今回のセミナーは「学生にフォントの魅力を伝える活動」となります。
私も、フォントに少しでも興味が湧いてくるのを期待しています。
モリサワフォントを探そう
モリサワフォントは、本や辞書はもちろん、駅の看板、ゲーム、ウェブサイトなど様々な場所や用途で使われています。
まずは、モリサワのフォントがどういった所に使われてるか?身の回りにある文房具やパッケージなどに隠れている「新ゴ」を探してみよう!ということで、「新ゴのな」の特徴(3画目がつながっていて、右上がり)などを教えてもらい、2〜3分ほど探してみます。
あっという間に、消しゴムやお菓子のパッケージ等からたくさんみつかりました。すっきりとしたデザインでどの年代でも読みやすいようにデザインされた「新ゴ」フォントの利用されているシーンの多さに驚きます。
書体の持つ役割

書体の役割としては、情報を伝えるだけでなく
- 視覚情報を伝える
- 雰囲気やニュアンスを伝える
駅名などでは鑑賞よりは見やすさが大切なためシンプルな書体が使われていたり、筆書体だと和風な印象を与えたり、フォントの違いで見る人に与える印象がかわってきます。
骨格・ふところ・重心
適切なフォントを選ぶには、フォントデザインを構成する色々な要素を知り、個性や特徴を見つけるのが大切です。
文字の特徴を捉えるには、3つのポイントがあります。
- 全体のバランスである骨格
- 文字が一画と一画が構成する空白であるふところ
- 重心は文字の中心
ふところは、狭いと引き締まった印象をあたえ、逆に広いとおおらかな優しい印象を与えます。重心が高いと品格と高級感をもたせることができ、低い重心の書体は、親しみや安心感があり、カジュアルな印象になります。
書体を制作する場合、上記のことをふまえて、仮想ボディの中に設計をし、エレメント(フォントの細かいパーツ)やウェイト(太さ)などをデザインしていきます。ちなみに、グラフィックツールなどに指定しているフォントサイズは、仮想ボディのサイズを指定しています。
デザインして制作しただけでは、終わらず人間の目の錯視などを考慮して、調整する「錯視調整」などを細かな部分にまで考慮してフォントは制作されています。

オールドスタイルとニュースタイル
モリサワさんのWebサイトには、様々な文字に関する便利なコンテンツがあり、FONT Mapには、近代的なニュースタイルと、歴史を感じさせるオールドスタイルの分布図や、デザイン書体のスタイル見本、Pr6などフォント名に追記されている文字セットの一覧など便利な情報の見方なども教えていただきました。

フリーフォントなど、無償でダウンロードして使えるフォントもありますが、有償フォントの品質の高さや信頼性を知ることと共に、フォントデザイナーの繊細な作業に感動しました。
Webデザイン学科の学生が使うPCには、フォントがたくさん入っていますが、自分の伝いたい事を明確に伝えられるフォント選びができるように、普段から心がけたいですね。
本年も、ありがとうございました。
講義メモ提供:吉川さん(1年生)- 関連記事
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