2023.08.18 [金] 鶴田 信博さん[株式会社マベリカ](業界研究2023)
前期授業も終了し、やっと夏休みです。
とはいえ、台風も近づき、毎日暑いですので、就職活動や課題制作と、前期に勉強したことを忘れないように、充実した夏休みを送ってください。
前期最後の業界研究には「【推しの子】」「ゴールデンカムイ」「異世界おじさん」「がっこうぐらし!」などの数々のアニメ公式サイトを制作している株式会社マベリカのプロデューサーの鶴田さんにお越しいただき、「アニメ公式サイト制作のお仕事」について講義をしていただきたました。
学生の中には、アニメやゲームなどの公式サイトを将来制作したいと考えている学生もいて、実際にエンターテイメント業界のWebサイト制作に従事している卒業生も多くいます。

株式会社マベリカ
株式会社マベリカは、東京都新宿区にあるWebシステム会社です。とくに自社開発のCMS「coreblo-CMS」を利用したアニメ・映画サイトの構築を得意としています。
その他にも、デジタルコンテンツ販売プラットフォーム「coreblo X」の販売やコンサルティング・システム開発などを行っています。
「coreblo-CMS」の開発を機に、映画会社からのサイト制作が増えたそうです。


マベリカさんのWebサイトには、実績など、あまり紹介されていませんが、多数のアニメ公式サイトを制作されています。鶴田さんもTVアニメ「ゴールデンカムイ」のエンドロールに名前が明記されています。
このように、数々のアニメ公式サイトを制作・運営されているマベリカさんからアニメ公式サイトの流れに沿って、Webサイト制作についてお話していただきました。
アニメ公式サイト制作の流れ
アニメの公式サイト制作を依頼される場合は「アニメ化決定!」などの発表と同時にティザーサイト公開、少しずつ情報公開、本サイト制作・公開後運用、公開後の話題提供のコンテンツ制作、アニメ終了後のパッケージ販売戦略・システム構築となります。
- ティザーサイト制作・運用
- 本サイト(公式サイト)制作・運用
- 話題換気施策(SNS活用など)
- テレビ本放送・パッケージ(DVDやグッズ販売など)対応
TVアニメの放送に合わせて、Webサイトの使われ方が変わっていきますので、それに対応した仕組みに精通している「coreblo-CMS」やマベリカさんの実績などが、アニメ公式サイトの制作を依頼される理由の一つだと思います。

マベリカさんでは、ひとつのプロジェクトに対して、基本①デザイナー、②コーダー、③ネットワーク担当、④営業の4人体制で担当しています。意外と少ない人数です。
クライアントの窓口は、主に配給会社の宣伝担当となり、たまに制作担当や営業担当が同席されますが、アニメーション制作会社や原作者と会うことはほぼ無いそうです。
①ティザーサイト制作、運用
ティザーサイトのティザーは焦らす・いじめるという意味で、メインビジュアルを出さなかったり、情報を小出しにして興味を惹かせる広告手法を使ったWebサイトのことです。
- ドメインやサーバーの設定
- ワイヤーフレームの立案
- ティザーサイトデザインの提案
- ティザーサイト公開
制作発表と同時に公開することが多く、マベリカさんにキービジュアルが渡されるのがギリギリなことが多いため、アニメの原作を事前に読み込んで世界観を理解することが重要です。
一週間で素材を揃え、翌週にはワイヤーフレームを作成することも多く、効率的な制作が必要です。ここでも「coreblo-CMS」の静的サイト書き出し機能が効果を発揮しているそうです。

②本サイト制作、運用
ティザーサイトの運用と同時に制作されているため、アニメの放送の一ヶ月前に完成しているくらいのスケジュールで制作しています。
- ワイヤーフレームの提案
- 本サイトデザイン
- 本サイト運用
- キャラ・グッズページ
- 基本的な第二階層ページの対応
アニメ公式サイトの重要ポイント
- 大量アクセスに耐えられるサイト
- 見やすくわかりやすいサイト
- 作品のイメージを伝えるサイト
- パッケージを買ってもらえるサイト
テレビ放送などは、放送時間が始まると同時にアクセス数が急増します。よくグルメ番組で紹介された直後、地方のお店のWebサイトにアクセスできないなんてことは、とくあることです。
しかし、それがわかっているのであれば未然に大量アクセスに対応することができます。

デザインのチェックには時間を要するため、十分な時間を確保してリテイクに対応することが必要です。
アニメ公式サイトの制作は、多くのスタッフが関わる重要なプロジェクトとなります。
デザイナーやコーダー、ネットワーク担当、営業などの連携がうまく取れるよう、チームワークを大切に進めることが大切です。
③話題喚起施策のポイント
アニメ公式サイトは、多くのファンにとって大切な情報発信の場となります。
ファンがアクセスしたくなり、SNSで拡散したくなる、そんな視聴者の期待に応える魅力的なコンテンツを制作することもあります。
- スペシャルページや併設ページで対応
- 魅力的なデジタルコンテンツの提供
- Webならではの動的なゲーム(サイト全体を巡回してもらうために工夫)
- SNSとの連携で話題拡散(特にTwitter[現X]が有効)
アニメ「ゴールデンカムイ」のWebサイトにも数々のスペシャルコンテンツが用意されています。
④本放送、パッケージ対応の対応
放送期間中は毎週放送が終了すると、あらすじの更新・次回方法の予告など更新作業があります。
放送が終わると、パッケージやグッズ販売への告知・導線設定などもあります。
意外と量販店も、パッケージ情報を販売会社からではなく公式サイトから取得する場合も多く、テキストを極力コピーできるようにしているなど、細かい配慮もされているようです。
- あらすじページ更新
- パッケージページ対応
- 法人特典ページ対応(アマゾン、ゲオなど)


近年ではアニメの放送時間が深夜のため、更新やトラブル対応のため夜遅くまで準備や作業をすることもありますが、好きなアニメ作品を一緒に作っている感動はかけがえのないものだと思います。

今回、華やかな印象があるアニメ公式サイト制作の現場を知る機会となりました。
話題となった「【推しの子】」の第2期制作も決定し、今後Webサイトを見る時の印象も変わってくるのではないでしょうか。
最後に、学生からの質疑応答にも応えていただきました。
鶴田さん、この度はお忙しい中、名古屋までお越しいただき、ありがとうございました。
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