2023.08.22 [火] 2025年卒インターンシップ ルール改正
夏休み期間中に企業のインターンシップに参加する人も多いと思います。
ここ数年では、就職活動やキャリア形成において、インターンシップはますます重要な役割を担っています。
重要性が増しているインターンシップですが、時代とともに就活の現状と、ルールが合わなくなってきていました。
そこで、経済産業省・文部科学省・厚生労働省は、2022年6月「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方(通称:三省合意)」を公表しました。
この中に2025年春卒業の学生からを対象とした「インターンシップルール改正」が明記されており、話題となっています。

対象は、大学生・大学院生となっていますが専門学校生にも影響は少なからずあります。
どのような改正が行われるのか、就職活動がどう変わるのか、そして2年制専門学校生にどのような影響があるのか、調べてみました。
現在の就職活動
以前までの経団連により示されている就活ルールでは、企業の採用活動スタート時期について以下のように定められています。
- 広報活動:卒業年度の前年3月1日
- 採用選考:卒業年度6月1日
- 内定:卒業年度10月1日
また、インターンシップに関しては「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」と定義されており、企業はそこで取得した学生情報を広報活動や採用選考活動に使用してはならないとされてきました。
しかし、経団連では2018年10月、2021年度以降入社対象の「採用選考に関する指針」を策定しないことを決定したことで、経団連に所属しない企業や外資系企業を中心に、前倒しで採用活動を行い、インターンシップも就職活動の一環と捉えられるようになりました。
このように、インターンシップを表す意味が曖昧になったことから一般社団法人日本経済団体連合会と大学関係団体等の代表者により構成される「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」が発足し、インターンシップの見直しの方針を含む2021年度報告書「産学協働による自律的なキャリア形成の推進」を議論し、公表しました。
日本におけるインターンシップの現状・課題
産学協議会が発行した「学生用リーフレット」内には、日本独特のインターンシップの課題を下記のように記しています。
- 現状、「インターンシップ」という名の下に、様々な目的・形態・期間等のプログラムが実施され、学生の間で混乱や焦りを招く一因となっています。
- 特に学生は、採用に直接つながると期待して、実務を全く体験しない「インターンシップ」と称する短期プログラムに参加しているのが実情です。学業が疎かにされているとの批判もあります。
- 国際的なインターンシップと大きく乖離しているため、外国人留学生など海外の学生の理解や参加が得られにくいのが現状です。
- この背景として、1990年代後半に政府が主導する形で、専ら「教育目的」として導入されたことが挙げられます。インターンシップ本来の機能である「学生のキャリア形成支援」が十分に発揮されているとはいえません。
学生用リーフレット
ちなみに、周知を目的としたためか、経済産業省・文部科学省・厚生労働省・産学協議会・国立大学協会・内閣官房などから、あらゆる資料が散在しており、どの資料をみればわかりやすいのか、探し回ったのですが、2023年3月に配布された「学生用リーフレット」が一番わかりやすいです。
また、最新の情報は、産学協議会の「活動報告」に随時更新されるようです。
2025年卒以降の就職活動
内容はどのようになっているのでしょうか。
まず、現在「インターンシップ」と呼ばれているものを、4タイプに分類しました。
インターンシップ4タイプ
- タイプ1:オープン・カンパニー
- タイプ2:キャリア教育
- タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップ
- タイプ4:高度専門型インターンシップ
タイプ | 名称 | 目的 | 主な特徴 | 現場社員の参加 | 取得した学生情報の採用活動への活用の可否 |
---|---|---|---|---|---|
1 | オープン・カンパニー ※オープン・キャンパスの企業・業界・仕事版 |
個社や業界に関する情報提供・PR |
|
任意 | 不可 |
2 | キャリア教育 | 働くことへの理解を深めるための教育 |
|
任意 | 不可 |
3 | 汎用的能力・専門活用型インターンシップ | 就業体験を通じて、学生にとっては自らの能力の見極め、企業にとっては学生の評価材料の取得
|
|
必須 | 採用活動以降に限り可 学生の連絡先を、活用しエントリーなどに関する案内を送付。 学生の総合評価を活用し、採用プロセスの一部を免除。 |
4 | 高度専門型インターンシップ | 就業体験を通じて、学生にとっては実践力の向上、企業にとっては学生の評価材料の取得 |
|
必須 | 可 |
引用:文部科学省・厚生労働省・経済産業省『インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方』
これにより、2025春卒業の学生より、タイプ3とタイプ4のインターンシップについて「取得した学生情報を広報活動・採用選考活動に活用することが可能」という方針に変更しました。
また、タイプ1とタイプ2で就業体験を伴わないものに関しては「インターンシップ」という名称を利用することができなくなりました。
タイプ1からタイプ4、どのタイプの活動も重要であり、産学が協働して推進していくことが重要だて。
いずれのタイプもキャリア形成支援活動であり、採用活動そのものではないと明記されています。
就業体験を伴わないタイプ1とタイプ2が「インターンシップ」と呼べ〜へんようになったもんだで、少しわかりやすーなったかも。
ただし、インターンシップでの学生情報が採用活動に活用できると明確化されたことによって、さらなる就活早期化も懸念されています。

タイプ3のインターンシップ
タイプ4に関しては、大学院生が対象で現在、文部科学省と経団連が試行中ということなので、学部生などが対象のタイプ3が気になります。産学協議会は、タイプ3のインターンシップを行うにあたって最低限遵守すべきと考える基準を設けています。
就業体験要件
必ず就業体験を行う。インターンシップ実施期間の半分を超える日数を職場(※)での就業体験に充てる。
※テレワークが常態化している場合、テレワークを含む
指導要件
就業体験では、職場の社員が学生を指導し、インターンシップ終了後、学生に対しフィードバックを行う。
実施期間要件
インターンシップの実施期間は、汎用的能力活用型では5日間以上、専門能力活用型では2週間以上
実施時期要件
学業との両立に配慮する観点から、大学の正課および博士課程を除き、学部3年・4年ないし修士1年・2年の長期休暇期間(夏休み、冬休み、入試休み・春休み)に実施する。
情報開示要件
募集要項等に、以下の項目に関する情報を記載し、HP等で公表する。
- プログラムの趣旨(目的)
- 実施時期・期間、場所、募集人数、選抜方法、無給/有給等
- 就業体験の内容(受入れ職場に関する情報を含む)
- 就業体験を行う際に必要な(求められる)能力
- インターンシップにおけるフィードバック
- 採用活動開始以降に限り、インターンシップを通じて取得した学生情報を活用する旨(活用内容の記載は任意)
- 当該年度のインターンシップ実施計画(時期・回数・規模等)
- インターンシップ実施に係る実績概要(過去2~3年程度)
- 採用選考活動等の実績概要※企業による公表のみ
これらの5つの要件を満たす場合、①プログラムを通じて取得した学生情報を採用活動開始後に活用と②募集要項等に「インターンシップ」と称し「産学協議会基準準拠マーク」を記載が可能になります。

これからの就職活動
今年(2023年)の3年生(卒業前年生)からが対象となるため、来年(2024年)になってみないとわからないとは思いますが、予想の範囲で学生にとって良い面と悪い面を考えてみました。
学生にとって良い面
- 低学年からの「オープンカンパニー」や「キャリア教育」に参加することで、短期間での集中的就職活動を避け、緩やかにキャリア形成を検討する期間が増える。
- 就業体験型のインターンシップが増えることで、入社後の仕事のイメージを捉えやすい。
- 「サマーインターンシップ」の他に秋冬のインターンシップが増加する。
学生にとって悪い面
- インターンシップの参加が前提となり、インターンシップ未参加者の内定が難しくなる。
- 内定に影響大となるとインターンシップ参加の倍率が上がる。
- インターンシップが採用活動に影響するということは、準備や対策などで、やはり就活の早期化はする。
- 長期化するのかな?
採用に使われる時期が、採用活動期間(6月以降)とはいえ、反映されることがわかっていれば、学生たちは内定のために「情報収集」や「対策」に励むと思いますので、現状の暗黙ルールが公になったと捉えるのが自然かなと思います。
今までの、会社説明会→エントリーシート→グループディスカッション→面接に「オープンカンパニー」や「インターンシップ」が加わることで、入社すぐのミスマッチは少し少なくできそうです。
2年制「Webデザイン学科」への影響
現在、2年制学科では、2年生に進級した直後から就職活動が始められるように、1年生から準備を進めています。ただ、入学して間もない夏の「サマーインタインシップ」は、なかなか手が出ないのが現状です。

今後、インターシップの開催時期が秋・冬と増加するようであれば、参加できる学生も増えてくるのではないでしょうか。とはいえ、タイトなスケジュールなのは変わりませんので、早めに就職について考える機会が必要だと考えています。
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