2019.01.31 [木] 佐藤歩さん、桝田草一さん[株式会社サイバーエージェント](業界研究2018)
後期の授業も残りわずかとなりました。
本年度最後の「業界研究」授業は、株式会社サイバーエージェントより、フロントエンドデベロッパーの佐藤歩さんと桝田草一さんにお越しいただき、「ウェブフロントエンドエンジニア」「ウェブアクセシビリティ」をテーマにお話しいただきました。

株式会社サイバーエージェントについて

サイバーエージェントは、「21世紀を代表する会社を創る」というビジョンのもと、AbemaTVをはじめとした“メディア事業”、と最近ではAIを取り入れた広告配信なども手がける”インターネット広告事業”、戦国炎舞など国内最大級の規模を誇る“ゲーム事業”と、インターネットに関わる様々な事業に関わっています。
従業員数は約5,000人で、日本でも大きなIT企業のひとつです。
若手の挑戦を歓迎している社風や、風通しの良い職場環境など、お二人が携わっている“メディア事業”での、プロジェクトの規模や、実際に開発で利用しているフレームワーク、技術的な話も交えて、より具体的に話をしていただきました。
今年の4月には、東京・渋谷の「Abema Towers」「渋谷スクランブルスクエア」への引っ越しも決まっていて、ますます各事業を密接につないだ開発を展開していくそうです。
ウェブフロントエンドエンジニアについて
前回、佐藤さんにお越しいただいた時には、たっぷりとフロントエンドエンジニアの技術的なスキルを話していただきましたが、今回は世の中にはどのようなフロントエンドエンジニアがいるのか、採用や新人教育にも携わっている立場から、お話しいただきました。

フロントエンドエンジニアのベースとなる職域が
- コンテンツ、UI 開発
- Web 技術の活用
- フロントエンド設計
ここに加えて、ビジュアルデザインやインタラクションなどにも携わる「デザイナー寄りのフロントエンド」やインフラ設計、サーバー開発など「よりエンジニアよりのフロントエンド」、要件定義、仕様作成、開発ディレクションもする「ディレクター寄りのフロントエンド」など職場や個人によって守備範囲が異なります。
さらに、クライアントやビジネスについてなど様々な領域の方との調整も多く、一概にフロントエンドエンジニアを定義するのは難しいのですが、制作物の品質を上げ、UIを通じて最終的な価値とユーザーの接点を担う立場といえます。
ユーザーに提供する価値を最大化する、アウトプットの品質として
- アクセシビリティ
- パフォーマンス
- セキュリティ(プライバシー)
続いて、価値を最大化するために必要なアクセシビリティについて、桝田さんにお話しいただきました。
ウェブアクセシビリティについて
アクセシビリティ(accessibility)とはaccess + ability = アクセス可能性と直訳できます。このアクセスできる(=アクセス可能性)は、具体的にどういったことのなのかというと、
- 知覚できる
- 操作できる
- 理解できる
- 壊れない

また、アクセシビリティは、「アベイラビリティ(availability)=耐久性、可用性」「ファインダビリティ(findability)=見つけやすさ、検索性」「ユーザビリティ(usability)=使いやすさ、使用性」などとも領域が重なり、はっきりと区別することはできません。
現在のウェブを取り巻く多様性を説明いただき、「○○しづらい」は、誰にでも起こりうることで「誰かの使いにくいは、誰かには使えない。」に通じ、「誰かの使えるは、誰かには使いやすい。」に通じる。
アクセシビリティは身障者やお年寄りだけを対象としてものではなく、すべての人に対して高い品質を提供することに繋がります。
では、具体的にWeb制作をする上で何に気をつけるべきなのでしょうか。
HTMLをきちんと書く
実は、しっかりHTMLの仕様書に則ってHTMLを書くだけで、アクセシビリティは対応できるそうです。具体的には、
- 分かりやすい <title>
- 見出しは <h1> ~ <h6>
- リンクは <a href>、ボタンは <button>
- <input>には<label>
- <img>にはalt属性を書く
また、「色に頼らない」「動くものは止められる」など、デザインについても解説いただきました。
VoiceOverを使ってみよう
実際に、使いにくい環境でWebサイトはどのように利用されているのか、学生にも体験しました。
MacOSに搭載されているスクリーンリーダー「VoiceOver」を使って、トライデントコンピュータ専門学校のWebサイトで「Webデザイン学科」ページの情報を取得するのですが、キーボードのみの操作で、さらに音声をもとにリンクを進めなければならないため、四苦八苦していました。


幸いにも、トライデントコンピュータ専門学校のWebサイトは、アクセシビリティ的にも、まだ考慮された構造になっているとのことで、タイトル要素 <h1>や<h2>などをたどる方法なども教えていただきました。
質疑応答
最後に、
Q:「マークアップを上達するためには?」
A:「日頃から、目に写る広告・飲食店のメニューなどを脳内マークアップしたりしてみる」など
1年生の質問にいくつかお答えいただきました。

新卒にかかわらず、「作る人として成長し続けるため、いま必要なこと」として、
- 「ひとりで作り切る」経験をする=多種多様な職域と仕事をする場合、「全く知らない」と「少し知っている」の差は大きい。
- 「インプットの習慣」を身に付ける=今学んでいることは、ほんの入り口にすぎない、継続的に学ぶ習慣を。
- 「問いを立てる力」を鍛える=なにが課題か? なにを解決すべきか? 日常的に考えを繰り返す。
佐藤歩さん、桝田草一さん、年始の忙しい時期にお越しいただきありがとうございました。
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