Web業界には、様々な職種があります。今回は、クリエイティブがすごいと世界が注目しているデジタルエージェンシーFICCからプロデューサーの堀尾真衣さんと取締役の平野健太郎さんにお越しいただき、プロデューサーの仕事について、特別講義をしていただきました。
堀尾さんは、トライデントコンピュータ専門学校の卒業生で、Webデザイン学科の1期生でした。このウェブDeBLOGの初期にも度々登場しています。卒業後、FICCに就職し、現在プロデューサーとして、さまざまなグローバル企業のデジタルマーケティング施策を担当しています。
まずは、勤めているFICCの説明をクライアント→広告代理店→制作会社への、仕事依頼の流れをホワイトボードに書いて、解説していただきました。クライアントと直接、取引をして、企業のブランディングなどデジタルプロモーションをお手伝いしています。
FICCさんでは、大まかにプロデューサーチーム、ディレクターチーム、制作チームと別れています。プロデューサーの仕事は、主に
となります。今回は、企画/提案の部分を中心に話していただきました。
企画/提案
まずは、クライアントヒアリング(クライアントに課題と思っている場所を聞き出す。)をし、目的を見極めユーザに何をして欲しいのか明確にすることから始まります。
リサーチフェーズでは、ターゲットユーザのインサイト(思考と行動の因果関係)を明確化します。そのために、Twitterやレビューを検索し、インターネット上に存在する、レビューだったり口コミなどとことん集め考えていきます。
根拠のないターゲットの思い込みが最大の失敗の素となります。
集めた情報から、ブランドが思われていること、他の競合にはできないこと、ユーザが求めていて提供できる範囲のものから強みを見つけていきます。
そして、ペルソナを作成していきます。
SNSなどでレビューしている人を集め、年齢、性別、学歴など関係しているものもあれば、関係のない好きなもの、願望、課題、価値観を収集し、ペルソナとしてまとめます。
いま思っていること、不満に思っていること、嬉しいと思えること、課題などをだす。提供したい製品もからめて、それぞれに共通するデモグラフィック、行動(購買行動)、嗜好、課題、願望、価値観から、一人称の文章で、一人の人物像を描く「I am Stertement」という手法を用いてコアインサイト(ペルソナに対して提供できるもの、ニーズ)と強みをつなげるコミュニケーションをキャッチコピーとして固めていきます。
つづけて、ターゲットユーザが「いつ、どこで、どのような気持ちで、何に接触しているか」などタッチポインを調べ、ユーザーの行動データやアンケート調査結果などから、メディア接触の視点でターゲットの一日を描きます。DILO(Day in the Life of)という手法で、いつ、どれくらいの時間、何の目的で、どのメディアと接触しているかを、時系列で書き出します。
DILOをもとに、ユーザがいる場所でコンテンツを展開するか、コンテンツまでにお客さんを引っ張ってくるか、または他の方法か決めます。
さらに競合と比較し、競合にはないもの、自社が持っているいいところ、ユーザのニーズから製品の強みを割り出します。
ここまでが、リサーチのフェーズになります。根拠のないターゲットの思い込みが最大の失敗の素となるため、さまざまな手法を利用して、ターゲットユーザのコアインサイトとブランドとのコミュニケーションを検証します。その後、
- 実施内容を決める
- 提供するコンテンツを決める
- 目標数値(KPI)の提示
- スケジュール
- 制作に関するものだったりいろいろのスケジュール
- 概算見積もり
とフェーズが続いていきます。よく聞くプロデューサーという職種ですが、具体的に何をしているのかが、なんとなくわかってきました。詳しい解説は、FICCさんのブログにも細かく掲載されています。
参照:デジタルの役割を明確にするパーセプションフローモデリング | BLOG | FICC
学生時代の話
Webデザイン学科の卒業生ということで、就職活動を控えた1年生に学生時代の話なども紹介してくれました。
FICCに決めた理由
まずは、「難しいところから攻めていこう」と考えて、グローバルブランド企業と直接関わり、高い評価を得ているFICCを受験しました。最初の面接のとき、本日一緒にお越しいただいた平野健太郎さんの話に感銘して「FICCに入社したい」と強く思ったそうです。その後、インターンシップを経由して内定をいただきました。
学生の時にやっておけばよかったと思うもの
英語を勉強しておけばよかったなと思っている。技術だったり情報だったりするものは、最初は英語の場合が多く、慣れておく、作品制作など目的意識を持って作ると良いなど、今後の学生生活へのアドバイスもしてくれました。東京の第一線の企業で仕事をする意義なんかも、学生時代の東京の印象なども交え話していただいました。
ここで、FICCさんの採用担当でもあり、さまざまな企業の採用担当者と人材確保、育成なども熟知されている平野健太郎さんからも、「読める読めないじゃなく見ようとする意識が大切で、技術などのスキルは教えられるが、探究心は教えられない。」とフォローされ、また学生のどこに注目しているのか、また、堀尾さんのどこが採用に結びついたのか、さらにFICC設立、初期の話、なぜ代理店経由の仕事をしないのかなど、ワクワクする話に学生も興味津々で聞いていました。
1年生は、まだマーケティングの話を聞くことが少ないので、難しい専門用語などもありましたが、それでも今まで勉強した、IAやUXといった話に近い部分があり、Webサイトはただセンスの良いモノを作ることではなく、リサーチしてユーザーを見極めることが重要と理解することができたのではないでしょうか。ありがとうございました!