セッション1-B
デザイナーが表現者としてプロジェクトに関わる重要性 アウトプットの最終仕上げ人としての自覚竹尾 郷さん(
マザー株式会社)
デザイナーがプロジェクトに関わる際、適材として求められる部分として「ポジティブであるか」「役割を理解しているか」を重要視しているという事でした。そして、ポジティブに関われ自分の役割を理解するためには、セルフマネージメントが必要です。
では、セルフマネージメントとは具体的に何をすることなのかということで、ピーターFドラッカーの言葉から「自分の強みは何か知る」「学び方を知る」「価値観を知る」「得るべき所がわかる」の4つをあげ、さらに、デザイナーにおけるセルフマネージメントは「現在進行形のデザインに求めることは把握」「デザインの原則の理解」「表現者としての感覚の理解」「Webにおける様々なロジックを理解する」とあげられてました。
デザイナーがプロジェクトに参加して、重要な役割を担う事が珍しくなくなって来た時代、Webデザイナーを目指す学生にとっても「セルフマネージメント」は必要だと感じました。就職活動でも、セルフマネージメントは活用できそうです。
セッション2-B
Webデザインが企業ブランドを創る時代 ~お客様から求められ続けるWebクリエイターのキャリアマップ~坂根 正樹さん(
株式会社タービンインタラクティブ)
タービンインタラクティブで社長の志水さんはよく講演をされていますが、他の社員の方が講演をされるのを聞くのは初めてです。
坂根さんは、サンフランシスコ Academy of Art Universityでグラフィックデザインを学び、アメリカのデザイン事務所で働いて帰国し、タービンインタラクティブに入社されました。アメリカの大学の中退率は80%、4年目での留年率が33%と過酷な学生時代を通じ、デザイナーに求められる事=Visiual Communication=「ビジュアルを通してメッセージや考えを伝え、ユーザーの感情や思考をコントロールすること」を徹底的に叩きこまれたそうです。しかし、日本に帰ってきてデザイナーに求められていることが、見た目のデザイン(表層的なデザイン)に偏っている事に愕然とし、クライアントと共に結果のでるデザイン(本質的なデザイン)=ビジュアルブランド戦略を進めてきました。今回は、実際のクライアントワークを題材に、「現状分析フェーズ」と「価値創造フェーズ」の特に「価値創造フェーズ」をワークフローに沿って詳細に解説して頂きました。
■「現状分析フェーズ」
企業分析、サイトテスト、競合の調査、問題点などなどです。
■「価値創造フェーズ」
1.キーワードの抽出こちらは、GoogleなどのSEOキーワード検出ではなく、クライアントに関するイメージ、端的に表す言葉、関連するものなどを、とにかく沢山だします。ブレストですね。
2.キーワードのカテゴリー分け3つから4つのメインカテゴリーを決めて、1で出たキーワードを分けていきます。
3.キーワードの擬人化セグメントマトリックスをつくり、どのエリアに数多く抽出されているかを確認し擬人化します。サイトの擬人化というのがポイントだと思いました。ペルソナとは微妙に違います。
4.ブランドテーマの策定1~3を検討し、ブランドイメージを制作します。イメージを見える形にする事がポイントだと感じました。実際には、ロゴのようなデザインイメージを制作されていました。
5.カラーコンセプトの策定ブランドイメージをもとに、色の持つ意味に合わせて、ブランドイメージとマッチングした色を決めます。
6.イメージコンセプトの策定今までの行程をもとに、ムードボードを作っていきます。実際のサイトで使用するものではなく、あくまでもサイトのブランドイメージに合ったイメージです。
7.最終デザインムードボードなどで使用したイメージやカラーコンセプト、ブランドテーマなどから、撮影のイメージ、最終デザインの判断材料にしていきます。
非常にわかりやすく、ブランドテーマの策定の考え方からビジュアルデザインへの落し込み方を詳細に、解説していただきましたので、学生の作品制作の参考にもなりました。
まとめとして、デザイナーに求められるスキルとして、「デザイン力」「表現力」さらに「論理力」「ビジネス力」が必要となる。フロント意識を持ってプロジェクトを進めていくことが重要ということでした。
そして最後に、「でもロジックだけでは、人を魅了するデザインはできないし、感情だけでは、人を動かすデザインはできない」と結ばれました。勉強になりました!
セッション3-C
クラウド型Webサービス「見積Rich」開始から1年で分かったこと ~自社サービス誕生に至るまでと、誕生後の運営・営業について~平野 智裕さん(
株式会社コネクティボ)
個人的な考えですが、今後、Web業界では会社独自のWebサービスを持っている事が、色々な意味でとても有利なのではないかと考えています。ということで、自社サービス「
見積Rich」の立ち上げ→その後の展開→現在という形でお話をされました。
見積Richを初めて知ったのは、サービス開始直後でまだ個人ユーザーでも有料の頃でした。
さて、セッションでは、サービスを開始してもなかなかユーザー数が伸び悩んだ時期を1ユーザー無料化、チラシ配布、セミナー講演など、地道に改善に結びつけてきた話をして頂きました。
自社Webサービスを制作することで、本業のアピールにもなり、協力してくれる方が増えたなど、Webサービスを取り巻く環境が好転してきた事が一番の収穫だったようです。
今回聞いてみて、1ユーザなら無料で使えるようになったということで「コレは!」と、早速先日使わせて頂きました。まだ、使い勝手がわからず、戸惑う部分もありますが便利ですよ。
セッション4-B
今、WEBプロダクションに求められること ―― 「クライアントと共に創り上げるプロジェクトワーク株式会社アクアリングのスタッフ4名&
株式会社NOYES冒頭、NOYESの社長、牧さんのFacetimeによるフランス・パリからのテンションの高い中継から、セッションが始まりました。牧さんのパフォーマンスから、サービス精神豊富な企業だということが感じられます。
クライアントであるNOYESは、自社でもWebの制作部門を持つソファーの会社です。今回は、何回かのリニューアルの末、今までにない新しいWebサイトリニューアルするため、外部のアクアリングに直接依頼があったそうです。「元々、ソファーをWeb販売するためのノウハウがあった」NOYESと「Web制作プロダクション」アクアリングがどのように仕事の進めたのか、クライアントであるNOYESの方とアクアリングの担当スタッフの方が記者会見のように話をされました。
「トムとジェリー」=良いものを作るための、意見のぶつけ合い、「王様と女王様」=双方の意思決定権の明確化、「絵文字(^^)v」=優しいコミュニケーションなど、イメージしやすいテーマに分けてセッションが進みましたので、非常にわかりやすかったです。
NOYESさんからも、Web制作プロダクションに求める事として
1.クライアントからの要望・意向を一旦受け止められる包容力と、期待を上回る提案
2.自社Webサイト上での特徴や値段の明確化
3.お客様のビジネスに対して(どうWebで解決するのか)の総合的なサポート
が上げられていました。
クライアントと制作会社、両者の話が聞ける貴重な機会になりました。ありがとうございました。
という事で、盛りだくさんのWCAN 2011 Autumnでした。なかなか、ブログに書くことができなかったのですが、これだけ多種多様な話を聞いた後は、アウトプットしないと意味が無いような気がします。
学生の皆さんも、アウトプットしましょう。
次回、WCAN 2011 Winterは、12月10日(土曜日)です。「2012WCAN ロゴマークコンテスト」の募集も始まりました。今年も学生全員に制作してもらおうと思いますので、よろしくお願いします!