2010.11.10 [水] 「ウェブアクセシビリティ 改定JIS セミナー」に参加
■特別講演「総務省ICT施策とウェブアクセシビリティー準拠現状」
総務省 情報流通行政局 情報通信利用促進課
ITCに対して、国がどのように取り組んでいるのかを説明されていました。難しい話の上、ちょっとプレゼン資料が細かくて見づらかったので資料を公開してくれると助かります。みんなの公共サイト運用モデルの改定に取り組んでいるということです。アクセシビリティといえば、官庁系、自治体のサイトってイメージそのままでした。
■セッション1「視覚障害者のウェブ利用現状と課題」
社会福祉法人名古屋ライトハウス ウェブ診断士 星野史充氏・矢野香織氏
※視覚障害者(全盲・弱視)によるウェブサイト利用デモンストレーション

全盲の星野さんが普段、使っているPC-Talkerを使ってのデモンストレーションと、使いづらいサイト、使いやすいサイトの違いを実際に操作して、見せてもらいました。メニューなどを飛ばすページ内リンクや不可視コメントなど、スクリーンリーダーを使うと、納得がいきます。(※でも最後の質疑応答の時に、不可視コメントの有無にも賛否両論あるとの事)
次に、弱視の矢野さんのzoomtextを使ったデモンストレーション、弱視の方の見え方は千差万別ですが、ぼやけて見づらいというより視野が狭いといったイメージのよう。細い筒で画面を覗いた状態が感覚としては近いようです。弱視者と高齢者の見えづらさというのは、同等と考えていいとの事です。
■「見やすい!のポイント」
●フォントサイズ:視野狭窄の場合にはフォントサイズが大きいと全体が見えないこともある
●書体:ゴシック体など太さが一定のものが見やすい
●コントラスト:一般的に白黒反転が多いが、様々なパターンがある
●字間・行間
●線の太さや線種・色
●一貫性
また、見やすいページ=可変なページで、自分で見え方を変えられると良いとのことでした。
■セッション2「改正JISとは」
講演者:株式会社インフォアクシア/代表・ウェブアクセシビリティ基盤委員会 副委員長 植木真 氏

WCAN 2010 Summerでも、お話を聞いた植木さんのセッションです。今年改定されたJIS X 8341-3:2010とWCAG2.0の解説です。気になったところを書いておきます。
●JIS規格自体非常にわかりづらくなっていたり、5年間改定ができなく最新の情報などが明記できないJIS規格票だけでなくWCAG2.0関連文書と組み合わせて使うのがベスト。
JIS規格票→WCAG2.0解説書(翻訳)→WCAG2.0実装方法集(翻訳)
●ウェブアクセシビリティ基盤委員会が定めている対応度表記のガイドラインがある。
●アクセシビリティ達成等級AAAは実現がかなり厳しいので、まずは公共サイトならAA、民間ならA+αを目指して取り入れていくべき。
今後もウェブアクセシビリティ基盤委員会で随時、情報が更新されるようです。
■質疑応答・パネルディスカッション
パネラー:星野氏、矢野氏、植木真 氏


技能五輪の題材でもあった「ユニバーサルデザイン」などもそうですが、サービスや物が普及すれば利用する人の属性も複雑になってきます。あまり難しく考えず、少しずつ導入していけば良いと考えてます。
今回の会場は、名城大学の名駅サテライト教室ということで、“名城水”(写真右)が売られてましたよ。